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鷹勇・純米吟醸山田錦物語

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平成9BY(*)から、当店では鷹勇・大谷酒造の坂本杜氏にお願いして、当店のオリジナル「純米吟醸山田錦」を毎年、タンク一本だけ造ってもらっています。 この年は、山廃造りを復活させ、それだけでも忙しいのに一度造ったお酒が気に入らないから、といって新たに造り直していただきました。

それから毎年、秋になってこのお酒がやってくるのが楽しみです。

ここ数年は、あまりにも早く品切れしてしまいます。秋に売り出して、翌年の春先には完売してしまうほどの人気商品になりましたが、売り出したばかりの頃は、鷹勇自体がほとんど知られていなかったせいか、なかなか売れずに困ったこともありました。

しかし、いくら売れなくても、これほどの思いの詰まった、そしてなにより、これほどの品質のお酒をオリジナルのお酒として販売出来ることが嬉しくて、無理しながらも毎年お願いしていました。

ことの発端は、あるお客さんの一言でした。

私の古くからの友人でもある郡山の平野屋さんのお酒の会に出た彼は、平野屋さんオリジナルの鷹勇を飲んで、あれはたいへんおいしかった。ついては、あれ、なんとか仕入れられないか? などと言いやがるんですね。あれは平野屋さんと坂本杜氏の話し合いによって出来たお酒。おいそれと、それ下さい、なんて言えるわけないじゃないか!

でも、このことはず~っと気にかかっていました。 確かにあのお酒は素晴らしい。うちも坂本杜氏に、同じようにオリジナルのお酒を造ってもらいたい。ここ数年、ずっと考えていたことです。

次に蔵に行ったら、杜氏にそれとなく頼んでみようかな~、でもうちなんかじゃ、まだ早い! って叱られるかな~? 鷹勇はずっと扱ってきたけど、それほど売れるわけじゃないし、売れ残ったら杜氏に悪いし・・・

で、その翌年、蔵を訪ねた時に地元の若い酒販店の息子さんがちょうど蔵に来ていました。 全く初めての顔合わせではなかったので、彼といろいろと話している時に、坂本杜氏にオリジナルをお願いしようかどうしようか迷っているんだよね、という話をしたのです。

でも、まだ直接杜氏の顔を見ると、踏ん切りがつきませんでした。

それで、二人で蔵の中を回っている時に、その彼が坂本杜氏に、「池田屋さんがオリジナルのお酒、造ってほしいそうですよ」とぽろっと言うではありませんか! え~っ、お前が言うか!? と一瞬思ったけれど、もう後の祭り。あ~、なんて言われるんだろ・・・と思っていたら、すんなりと、

「ええですよ。というか、もうそろそろ造らにゃいけん時かもしれませんね」とおっしゃってくれるじゃありませんか。

もう感謝感謝! こんなにあっさりと引き受けていただけるとは思ってもいませんでした。 あ~、値段も安いし、仕切りも安いけど、その品質に惚れ込んで鷹勇を売り続けてて良かった~! と思った瞬間でした。

「じゃあ、どんなお酒にしたいか一年かけてじっくり考えますので、来年の造り(平成9BY)からお願いします」ということで、その時は帰宅しました。 で、実はこの時、例のお客さんも同行していたのです。

いや~、なにがきっかけになるか分からないもんだね~。 来年の造りは3~4回、鷹勇に行かなくちゃなんないよな。 俺は店があるから、Kさん(そのお客さんの名前)代わりに見てきてよ。 う~ん、それじゃ有給休暇とるかね。 な~んて会話で羽田に向かう飛行機の中は盛り上がりました。

そのKさんも含めて、当店のうるさいお客さん達の意見も聞きながら、だんだんとオリジナルのお酒のイメージを固めて行きました。

まず、お米は山田錦。精米歩合は50%の純米吟醸。そして酵母はスタンダードな9号酵母。香りばかりが強いような酵母ではなく、味と香りのバランスの良い、スタンダードな9号。

そして中汲みだけを瓶詰めせず、全部一緒にしてもらう。 これだけは決めて、あとは坂本杜氏にお任せしよう。それで、どんなお酒になったとしても、全部引き取ろう。そう考えが決まりました。

ラベルもパソコンで作って蔵に渡し、裏貼りの文章も考えましたし、杜氏達が造りに入る前に、おおまかなスペックだけは希望を伝えておきました。 そして翌年の冬、また再び鷹勇を訪れました。

坂本杜氏に、「おやっさん、一応、前にお伝えした通り、山田錦の50%精白で、酵母はスタンダードな9号、ということでお願いします。後は・・・」 と坂本杜氏は、「後は全部任せて下さい。ええ酒造りますけん。」 「よろしくお願いします!」

なにせ、あの坂本杜氏のこと。素晴らしいお酒を造り上げてくれるに違いない。 期待に胸はふくらみました。 鷹勇も、地方の酒蔵ゆえに、ご多分に漏れず、大手メーカーの下請けのような酒造りも長く経験されてきたそうです。 「だから、アルコール度数、日本酒度、酸度、指定してくれれば、全部その通りのお酒、造れますけん」とおっしゃっていました。

「一度×××の製造部長がいらした時に、うちの麹を見て、素晴らしい、うちもこんな麹を出したいものだ、と言っておられましたよ」

それほどの腕前の杜氏です。全幅の信頼を置いてお任せしました。

そして出来たという知らせを待っていたのですが、これがなかなか来ない。 いつもだったら3月初旬には搾っているんだけどな~ 3月中旬になっても連絡が無いので、心配になって蔵に電話して坂本杜氏に聞いてみたら、「いや~実は一度造ったけんど、どうも気に入らんから、もう一度造り直しちょるけん、もうちょっと待ってください」とのこと。

うっひゃ~! なんてこったい!! 今年は久々に山廃の純米吟醸と純米酒を復活させて、それだけでも忙しいだろうに、わざわざ造り直してくれるなんて!!! 電話口で言葉に詰まって、「有難うございます!」と、それしか言えませんでした。電話を握りしめたまま、最敬礼をしてしまいました。

そしてそれから約一ヶ月後。 坂本杜氏から「出来ましたけん、まずはサンプル送りますわ」とのご連絡をいただきました。 どういうわけか、Kさんを始め、うちのお客さん達はこういう時には野生の嗅覚で嗅ぎ付けてくるんですよね。

「そろそろじゃね~の?」 「来たら、みんなで飲もうぜ」

はいはい。ちゃんとお披露目いたしますよ。自分一人で味わったりしませんから。 ということで、当店のディープな鷹勇ファンに声をかけてお披露目飲み会を開きました。 どきどきしながら栓を開けて、みんなのお猪口に注いで、自分のお猪口にも注いで、全員で一斉に飲み込んで・・・

うお~っ! という叫び声。言葉にならない雄叫び。 みんなが口々に

「すっげ~! なんだこれ!!」 「うんめ~! まださすがに固いけど、でもうんめ~!」 「やったじゃん、池田屋さん。こんな凄い酒造ってもらって良かったね~」 「俺、とりあえず10本予約!」 「あ、俺も俺も!」

みんなが一斉にしゃべりだすので、その場はしばらく騒然としてしまいました。 鷹勇を扱いだして7年。とうとうオリジナルのお酒が出来上がりました。 自分の店のオリジナルとして、これほどのお酒を造っていただいた坂本杜氏には本当に感謝しかありません。 それからは毎年タンク一本のみ造っていただいています。

追伸

そして平成19年をもって坂本杜氏は杜氏を引退され、顧問となられました。ですので、この「鷹勇・純米吟醸山田錦」も平成19BYで販売を終了させていただきます。

後任の曽田杜氏も、昔から坂本さんと共に酒造りをされ、長年鳥取市の酒蔵で杜氏として活躍された大杜氏です。けっして、曽田杜氏の腕を信頼しないわけではありませんが、このお酒は、坂本杜氏の腕に惚れ込んでお願いして出来たものです。

寂しい気持ちが無いわけではありませんが、これがけじめだと思っています。長いような短かったような10年間でした。御陰さまで順調に売れ続けていますが、これも限りがあります。ご希望の方はお早めにお願いいたします。

 

 

さらに追伸

平成19年度で坂本杜氏は引退され、この時にはタンク2本、この純米吟醸山田錦を造っていただきましたが、そのお酒は、もう既に完売しています。

がっ!

坂本杜氏は引退された後も、時々、蔵に行らしていて、平成21年度の造りの時に、この当店オリジナルの純米吟醸山田錦も造っていただきました。

ということで、現在は平成21年度の純米吟醸山田錦をいただいています。

しかし、この年度で最後になります。

現在、坂本杜氏が手掛けられたお酒は、この平成21年度の純米吟醸山田錦が最後になってしまいますので、ご希望の方は、お早めにご注文下さい。

 

 

*BYとはBrewery Yearの略で、醸造年度のことです。ですので、この場合の平成9BYということは、平成9年の7月1日~平成10年6月30日までに造られたお酒、ということになります。

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