井上合名会社のご紹介
福岡県中部、太刀洗町にあります。はっきり言って、分かりにくい場所です。何度お邪魔しても、なかなか地理がよく分からない。まあ、そんなことはどうでもいんですが、でも、蔵のすぐ裏手を流れる小石原川は、3月頃に蔵を訪ねると、一面の菜の花が咲き乱れていてひと足早い春を感じさせてくれます。
ここは、平成13byの造りから酒質が一変しました。その原因は、おそらく井戸の水ではないかと思われます。私が最初にここにお邪魔した頃に使っていた井戸に戻したからではないかと思います。その頃(平成3〜4年頃)の三井の寿は、ふわっと柔らかく、しかも透明感溢れる味わいでした。それが数年経った頃から、なんか変わったよな〜・・・とっさん(杜氏)も年で疲れてるのかな〜、などと思ってました。なんせ、この蔵、恐ろしいことに、全てのお酒を蓋麹という小さな道具で麹を造る、とんでもない造りを平気でしてますから。(今でもやってます)
とっさんも悩んでいたそうです。で、今思いだすと、井戸を変えた、と井上社長がおっしゃっていたんです。これが原因ではなかろうか、というのは今になって言えることですが。
平成13byのお酒を見せていただいた時に、昨年までのお酒とあまりに違うのでびっくりしました。ほのかな吟香、味の底に潜んでいる上品な吟味。米の旨味がたっぷりと詰っていながらも滑るような切れの良さ。あっ、昔の三井の寿の味だ! これこそ三井の寿じゃん!!
「今期の造りから水を変えたんです。以前の井戸に戻したんです。うちのお酒には、この水が合っているのかもしれません」と井上社長。
聞けば、井戸を変えた頃から、とっさんが悩み出したらしいのです。どうも、酒が思うようにならないって。
「だから、とっさんには悪いことしたな〜、て思うてるんです」
そして、平成15byからは山下さんから水上さんへと酒造りの重責がバトンタッチされました。(現在、三井の寿では、「杜氏」という役職はありません。名刺でも「醸造技師」という肩書きになってます)
菊姫であの農口杜氏の薫陶を受けた山下さんが他の蔵へ移られて心配される声も聞かれましたが、今年の新酒を見るかぎり、この心配は全くの杞憂になりそうです。
さらなる進化に向かって蔵元、蔵人一丸となって突き進んでいます。
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