大谷酒造のご紹介
鳥取県中部、東伯町にある酒蔵です。
なんといっても、私の敬愛する坂本俊杜氏の存在を抜きにして、この蔵は語れないでしょう。
十八歳からこの蔵に勤め始めて、もう五十数年。
あの上原先生をして「現在、あれほどの技量の杜氏はそうはおらん」とまで言わせしめる腕前で、米の悪い年でもちゃんと「鷹勇」の酒を造ってしまいます。
鷹勇は、よく「男酒」と言われます。まさに正鵠を得ている言葉でしょう。搾ったばかりの時は、熟成の目処が立たないほど堅く、渋いです。生原酒でさえ、常温でほったらかしておいても全く崩れてきません。
それが時を経てくると、なんとも言えない旨味になってきます。この味わいを知ってしまったら、もう鷹勇の虜です。
戦後のベタ甘がもてはやされた時代でも、上原先生と一緒に一貫して辛口の爽やかな酒を造り続けてきた鷹勇。数年前にはしばらく封印されていた山廃純米も造りだし、さらに我々飲み手を驚かせてくれました。最初に、この山廃純米のサンプルを飲ませていただいた時は、正直、言葉になりませんでした。これほどの透明感と深い味わいを持った山廃を、私はそれまで飲んだことがありませんでした。
恐るべし、坂本杜氏。
しかし、この蔵の凄さは坂本杜氏だけでは到底語り尽くせません。頭からパートのおばちゃんまでが凄い。坂本杜氏と一緒に出雲から赴任されてくる蔵人さん達は、どの人も、他の蔵へ行けば杜氏として一本立ちできるだけの腕を持った人ばかりですが、長年坂本杜氏と一緒に酒造りをしているため、他の蔵に行きたくない、といっていつも一緒に鷹勇に来られます。そして毎年パートに来られているおばちゃんも、蒸米を触っただけで、どんな種類の米か分かってしまう。脇で私が見ていたら、「あっ、これは山田錦だ」などと呟いているのです。恐るべし、パートのおばちゃん。(ご免なさい。名前知りません)
純米だけに限っても、いろんな種類のお酒があります。それを、決して大きくないタンクで造るのだから、さぞかし大変だろうと思うのですが、坂本杜氏は、「タンクごとにいろんなことが出来るけん、面白い。ええ勉強になります」とさらりとおっしゃる。
「現代の名工」を受賞され、「黄綬褒章」も受けられましたが、坂本杜氏の目は常に飲み手の方を向いています。
まだまだお元気で、素晴らしい美酒を醸し続けてほしいものです。
鷹勇・坂本杜氏特別インタビュー
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